TextAlive 10周年

投稿者: 加藤 淳
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カテゴリ: research, creativity, life, lookback

今日は、研究開発してきた Web サービス「TextAlive(テキストアライブ)」の一般公開を始めてから 10 周年でした。

論文としては ACM CHI '15 でフルペーパーを刊行して Honorable Mention Award をもらい、「終わった」研究でしたが、一般公開して継続的に研究開発することで、想像もしないところまで連れてきてくれました。 「リリックビデオ」という言葉が一般的になる前からミュージシャンの方々に使っていただいているのはもちろん、音楽ライブ・VR 演出、プログラミング教育など、多彩な局面で利活用が進んできました。

初音ミク「マジカルミライ 2025」ステージ登壇でTextAliveを紹介したスライドより

機能を API としてまとめた結果、「Songrium(ソングリウム)」という当グループの別サービスとの連携に始まり、「初音ミク バースデーメッセージ企画」などユーザ参加型イベントの演出への応用、街をサイレントライブ会場にする実証実験「SYNCHRONICITY 2020」での活用、カジュアル創作の派生サービス「TextAlive Flow」や、身体を動かして楽しむアトラクション「TextAlive Groove」など、数多くの取り組みが生まれました。 折り返し地点となる 5 年目には、リリックビデオもすっかり市民権を得ていました。そこで、歌詞が魅力的にアニメーションするインタラクティブなビジュアルアートとして新たなメディア様式「リリックアプリ」を提案し、API を含むアプリの開発支援用フレームワーク「Lyric App Framework」を一般公開。 初音ミク「マジカルミライ」という年次の創作イベントでプログラミング・コンテストを初開催でき、以来、大変熱量のある作品が毎年応募されてきています。 作品群の分析も含め ACM CHI '23 で改めて論文化し、国内外で 8 件の学術的受賞に繋がりました。

これらの機会は、数多くの研究者・クリエータと親交を深めるきっかけになりました。研究者としてのスタイル「道具鍛冶研究者」を確立できたのは、間違いなくこの研究のおかげでした。

今回、お世話になったクリエータの方々からもお祝いのメッセージをいただきました。大変幸せなことだと思います。

クリエータの方々からいただいたメッセージ、宝物です!

産総研入所して最初に取り組んだ研究の成果が、10 年かけて創作文化のなかに織り込まれ、一つの節目を迎えたような気がしています。 X では、もう少し詳細な振り返りを、個人アカウントで一週間以上かけて毎晩つぶやいていました。

そちらでも書きましたが、周りで支えてくださる方々、そしてツールとして使ってくださる方々がいたからこそ、ここまで続けてこられました。 まだまだ、取り組みたい研究開発があります。これからも、よろしくお願いいたします。


以下、大量の X ポスト引用が続きます!

第一夜(産総研入所~ SNOW MIKU 2016)

第二夜(JSTnews 掲載~ No Maps 2016)

第三夜(SNOW MIKU LIVE!、マジカルミライ 2018 ~ daniwell さんスタイル追加)

第四夜(プライベート楽曲機能、Inter BEE 2019 ~ニコニコネット超会議 2020 夏)

第五夜(プログラミング・コンテスト開始~ボカコレ~バースデー・メッセージ企画)

第六夜(SYNCHRONICITY ~ VR ライブでの活用~座談会など)

第七夜(多数の実証実験~リリックアプリ論文採択)

第八夜(SNOW MIKU 2024 ~東京タワー~まだまだ開発継続中!)