半年を振り返る

投稿者: 加藤 淳
投稿日:
カテゴリ: life, lookback

博士課程を修了し、就職してから半年ほど経ちました。いろいろと変わったようであり、あまり変わっていないようでもあり、よく分かりません。分かりませんが、研究のサイクルが一巡して、ひとまず暮らしが落ち着いてきた感じはします。新居がどういうところかというと…

まぁこんな感じです。

4 月

職場に自分のスペースを割り当てられ、研修を受けてさまざまな分野の研究のことを見聞きしました。また、新しい研究テーマについて考えたり、国際会議ACM UISTの投稿論文を読んで、査読者割り当てを考えたりしました。週末は新居に友人が遊びに来たりして、わりと忙しなかったのを覚えています。

5 月

Graphics Interface 2014で画像処理用の統合開発環境VisionSketchを登壇発表するため、カナダのモントリオールに出張しました。モントリオールは英語とフランス語が半々の都市。世界的なサーカス団 Cirque du Soleil の本拠地でもあり、ちょうど最新作「KURIOS - Cabinet of Curiosities」を公演中だったので見てきました。大変素晴らしかったです。日本でもそのうちやるんでしょうか。

月の後半には、今年から ACM との共催になった国際会議HAI 2014Sharedoというシステムに関する論文を投稿しました。Sharedo は、もともと国内会議で発表したときは人とロボットで To-do リストを共有するというコンセプトの研究でしたが、実体を持たないエージェントにも対応できるよう実装を拡張して投稿しました。

6 月

前月末から月初にかけて、集まってきた UIST の査読結果をもとにメタ査読を書く作業に追われました。大学時代の親友が癌におかされていることが分かり、落ち込みました。恩師の元へ一緒に行ったり、できる範囲でできることをするのみですが、未だに気持ちの整理がつきません。ただ、この歳になってくると、整理がつく気持ちのほうが少ない気もします。昔いろいろあって苦手意識を持ってしまった友人と笑って会えるようになったりもするし。

そういえば、東京に何回も出た気がします。Microsoft Research のインターン仲間と会ったり、医は仁術を見に行ったり。

この月の下旬は、UIST の PC Meeting(Program Committee による会議)に参加して、トロント大、マニトバ大で招待講演をこなしました。トロントではナイアガラの滝に行って、その場で知り合ったインド人のオジサマと意気投合、二人で滝壺ツアーに参加してはしゃぎました。それっきり連絡取ってないけど、元気にしてるかなぁ。マニトバ大では、かつてERATO 五十嵐 Pで一緒だった Jim にホストになってもらい、夜は Jim 宅でバーベキューまで!非常にアメリカン(カナダだけど)な数日間となりました。

7 月

月初、UIST のデモセッションに投稿しました。結果、不採択でしたが…やはり準備期間が短すぎたのでしょう。査読結果が返ってこなかったり、査読方針について聞いたらよく分からない回答があったりなど、いろいろ思うところはありましたが、まともな査読プロセスであったとしても通らなかった可能性の高い出来だったと思います。反省。

同時期にフォローアップ研修というのがあって、4 月の研修で会った人々と再会しました。ただ、デモ投稿で忙しすぎてほとんど彼ら彼女らと会話した記憶がありません。

そうこうしているうちに、もともと投稿予定であった研究会の発表申し込み〆切がきてしまいました。情報処理学会の SIGMUS という研究部会で、夏が一番大きく、他にもあわせて 4、5 回、研究会を開くそうです。これには、UIST デモ投稿と同テーマで出すことにしました。月末に原稿〆切があり、それまでの間に UIST で落とされたときよりもだいぶ実装を進めることができました。これが一か月前にできていればなぁ。

8 月

所属グループ長がリーダーを張っているOngaCRESTというプロジェクトの中間報告シンポジウムが開かれるということで、その準備にてんてこまいでした。とくに、Web と印刷物のデザインを任されたので、研究者というよりデザイナーの仕事をしていました。印刷物はぜんぶ PDF でダウンロードできるようにしています。

中旬から下旬にかけては、HAI カメラレディ原稿〆切と、OngaCREST、情報処理学会 夏のプログラミングシンポジウム、SIGMUS 夏のシンポジウムの三連戦があって、この半年で一番つらかったです。でも、夏のプロシンでは開発環境研究や Live Programming について思う存分語れたし、初参加の SIGMUS で聴衆投票による発表賞がいただけて本当に嬉しかった!

月末には国内会議WISS 2014の〆切もありました。その翌日には Sony CSL 主催のおうちハック発表会でキーノートスピーチなども。

9 月

23 日に ACM CHI 2015 の論文投稿〆切があり、これに向けて研究に専念した月でした。例によって実装で欲張る癖が出て、ユーザスタディがギリギリになってしまいました。研究用プロトタイプとしてはそこそこ完成度を高めて臨みましたが、それでも、研究上の課題が浮き彫りになるのは、本当にユーザスタディの面白いところだなと思います。

そんなわけで、半年が過ぎました。反省点は主に二つ、UIST の運営委員としての仕事に時間を割きすぎたこと(結果、自分の UIST デモ投稿にほとんど時間をかけられなかった)と、デザイン仕事を受けすぎた(結果、同月の登壇発表で死ぬ思いをした)ことでしょうか。

ただ、運営委員としての仕事は初体験だったし、日本人僕一人だったしで、頑張りきるつもりだったので後悔はとくにありません。今年の UIST のプログラム、僕の担当部分については 100%の自信を持っておすすめできます。よい会議です。

この場所、この職での生活の勝手が分かってきたところで、これからの半年はもっと自由に振る舞えそうです。新しい研究テーマもがんばるぞい!